Right to Light

陽ととなり

5月の逢引き、さざめき

休日の朝に身体が重たいのは初めてだった。起きる時間は平日と変わらず、さぁ活動しようと身体を起こすまでに時間がかかるのが私の近頃の休日であったのだが、今日はとにかく起き上がれなかった。あぁまずい、まただ、またこの考えに嵌ってしまった。必死の思いで何とか立ち上がりカーテンを開けて陽の光を浴びる。週末に丸一日降り続いた霧雨が嘘のような快晴だった。予定は無いけれど1日が始まってしまった。心は虚ろで、目的も楽しみも先も無いまま1日を過ごすことは今の私には無理だと思った。気付けば洗面所で膝を抱えて、あぁまずい、まただ、またこの考えに嵌ってしまった。腹は減ったが食欲が無い。6枚切りの食パン、最後の1枚を食べられずにいる。賞味期限から逆算して消費するためのゆで卵、朝に食べようと思っていたけれど食べられなかった。コーヒーを淹れる。今週の内に無くなってしまうから買わなければならなかったのに買い出しは昨日済ませてしまった。物忘れということではない。意識の外にある。やらなければならないこと、やった方がいいことが億劫になる。財布からの支出を覚えていない。家計簿をつけていない。お弁当を作るのが面倒くさい。コンビニでパンを買う。それでいいじゃん。なにもやりたくない。なにもやりたくない日は時間が過ぎないで欲しい。いっそこのまま死んでしまいたかった。そう思い立つと私は早い。このまま死んでいいのか?一瞬の思考でとりあえず服を着替える。顔面を整えて髪を作る。そう言えば週末に友人が傘を家に忘れていった。届けなくてはならない。書きかけの便箋。伝えたい思い。涙目だった。

 

朝の陽射しが目に痛かったけれど目的地があるのはとても良かった。ドライブ。運転は好きだ。道は今であって思い出だから。どこまでも行けそうだった。海が見たかった。友人に会ったら挨拶とハグを交わそうと思った。私はいなくなるから。今まで友でいてくれてありがとう。かけがえがないという言葉はあなたの為にあるのだ。たくさんのものを貰った。私もそれだけの想いを返してきた。愛してる。通じ合うって感じてる。何があってもそれを踏み越えていこうと思ってる。その思い。感情は身体を蒸かして私を衝き動かす。

 

ここまでだ。もう書けない。日が落ちたから。逡巡と錯綜。回転。命のさざめき。運転するにも目が乾いてきた。酒と、食べる気もないパンを買った。ごめんなさい。ご飯が食べれてない。やっぱりどこか心がおかしい。ずっとこのままじゃいられない。私はもっと話をしなくちゃいけなかった。大好きだよって。あなたといる私には価値がある。でも心がそれを認めてくれない。私は私から逃れられない。こうしてる今だって何も覚えられない。手紙を書くね。