Right to Light

陽ととなり

ひともひととせ、なつのか、ひもとくひのくれ

雨の夏から一転、急激に暑くなった今週だった。私の夏は毎年なるべくしてなっているけど、外の熱波と太陽に触れて、私はやっぱり夏が好きだなと思った。鬱になったのも恋が破れたのもノスタルジーに苛まれるのも夏だったから今まで好んではいない気でいたけれど、自然に“やっぱり“とつくあたり心の底では好きだったのだ。素直になれるじゃねえか…。陽射し、むせる熱気、蒸された車の空気、クーラーの効いた部屋とそこにいると忘れる外の気候、全部が生活の彩りで懐かしさと郷愁と、小学生だったあの頃を思い起こさせる。鬱も夜も恋も喧嘩も独白も今の私は持ち合わせていないけれど、確実に過去の想い出として今の私に息づいている。イヤホン、耳元に触れるMan in the Mirror、震える携帯に写る文字はいつの間にか電話番号を交換していたあの人からで瞬間に上がる脈と焦っていないフリをする自我はちぐはぐで、暮れる空にうっすら見える三日月を見ながら話をしたのを覚えている。いくつになっても忘れることはないだろう。話をするなら夏の暮れで、恋ををするなら金曜日だ。夏が来る度に、季節の巡りを覚える度に思い出すことがある。生きるというのはいいと思う。正しいと思う。楽しいと思う。人と会い、話して、笑って、繋がりを持てるのはとても良い。家でお酒を作るようになってから酔いのパフォーマンスが良くなった。酔いは良い。なんでもかんでも考え過ぎなくて良い。すぐ寝付けるのが良い。(寝起きの頭痛が悩ましいけれど。)  今の私が好きだ。どこにもいなくて、平凡で、自分は特別だと思ってる。好きな歌があって、好きな人達がいて、好きな夜を作って彩れて、はじまりが何かを知っている。やりたいこともやらねばならないことも知っている。日付を特別に思ってる。一年が廻ってその日が来る度にこうして想いと感傷に浸かれる。10月も、11月も12月も2月も3月も4月も5月も7月も、いつも私には特別で、誰もが私には特別で、サウダージのトリガーだ。だから今日もこうして特別になる。想いのある日になる。友達の個展に行って、家族にあって、夜を歩いた。日は息づく。ひとりは息づく。

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