Right to Light

陽に当たっていたい22歳

映画「レ・ミゼラブル」を観る

レ・ミゼラブル(2012)を観た。
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ミュージカルは割と好みで、「ヘアスプレー」、「天使にラブソングを」とかこのブログでもはるかに昔にハイスクール・ミュージカルを和訳してたり、その程度に好きだ。

いきさつを少し。
タイトルは知っていて興味はあったんだけど、レンタルしようとパッケージを見たら上映時間160分!吹き替えなしのオール字幕!「これは娯楽感覚じゃ観れないぞ〜」となりその時は手が出せなかった。そして先日、友人がDVDを持っているというので「ここしかない!」と思って借りたのである。
いきさつ終わり。

で、2日に分けて観終わり、感想を書こうとして今に至る。
ここまで前置き。

おおまかなあらすじについては省略。調べればいくらでも出てくるし僕にはそんなにうまくまとめる能力もない。

前情報ゼロで観た上での感想は、ひとことで言えば「うーん??」という感じだった。とりあえず思いつくままに、出来るだけ映画の流れに沿うように思ったこと。

〜〜〜〜〜
ミュージカル映画にはよくあることで、冒頭からミュージカルではじまる。主人公のジャン・バルジャン含む大勢の囚人たちが荒波に打たれながら船を引くシーンは迫力満載だった!しかしみんな同じ服の髭面で誰がジャン・バルジャンかわからなかった…。仮釈放されるまでただの囚人のワンシーンかと思ったよ…。「24601(トゥーフォーシックスオーワン)」の響きがやけに頭に残る。旗を持ち上げるシーンが何気に伏線になっていたのかな?

司祭に赦されたジャン・バルジャンが生まれ変わろうと決意するシーンはまさに「希望」といった感じだった。ジョースター卿もこんなことやってたなぁと思ったよ。この「銀の燭台」のエピソードは割と有名で道徳の教科書にも載っているらしい。まさかこれが元とは。

時は経て、市長になったジャン・バルジャン。ここまでの過程をもう少し知りたかった。突然工場長になって市長になって…少し置いてきぼりをくらった。

ファンティーヌが堕落していくシーン。ここの曲も好きだ。メロディが妖艶でどこか暗く寂しげで湿っぽい。なぜかファンティーヌが身落ちしていく過程はしっかりある。髪を売り、歯を売り…目を背けたくなる。ファンティーヌは衰弱して死んでいくのだけど、アン・ハサウェイの表情には本当に迫るものがあった。
 
ジャン・バルジャンは自身の身の上を明かしジャベールから逃れる。ファンティーヌに託された娘コゼットに会いにいく。

クリスマス。コゼット(天使)と宿屋のティナルディエ夫婦、その娘エポニーヌ。今までずっしりしたシーンばかりだったのでこの宿屋での曲は息抜きになる。夫婦の小悪党めいた雰囲気も愉快愉快。ヘレナ・ボナム・カーターはこんな役ばっかやってるね。

ジャン・バルジャンはコゼットを連れてパリへ。修道院に身を寄せる。

さらに時は経て、時代は王政復古格差社会。物乞いと貧民が溢れる街。そこに出てくるマリウス。こいつはあまり好きになれなかった。なんでって成長したコゼットに街で目があっただけで一目惚れするわ、成長したエポニーヌ(好みどストライク)の恋心に気付かずコゼットに会うために利用めいたことするわ、他の人物は自分が何をしたいのかはっきりしてるのだけど、マリウスだけは最後までフワフワしてた印象。革命のために家族とは縁を切ったと言っていたのにラストでは祖父の屋敷で結婚式を挙げるし。

なんてったてエポニーヌ(好みどストライク)ですよ!コゼットよりエポニーヌです。劇中で1番好きな人物。最後までマリウスへの愛に生き、自身の幸せを手にすることも出来たはずなのにそれでもマリウスの幸せを願い、最期はその愛するマリウスの腕に抱かれ本望に死んでいく。「なんて哀しい人なんだろう!(タイトル回収)」と、涙腺にきた。雨の中で歌うシーンはすばらしい。

one day more〜民衆の歌の流れは興奮した。やっぱり大人数での迫力ある楽曲シーンこそミュージカルの醍醐味であると思う。学生蜂起は鎮圧され、メンバーはマリウス以外死んでしまう。あっという間に終わってしまった印象。というより緩急がついていると言うべきか。コゼットと離れるマリウスとかエポニーヌの恋心とかガブローシュの勇気とか、いろんな人にスポットが当たっていて好きな場面のひとつです。

ジャン・バルジャンを追っていたジャベール警部の投身自殺。ジャン・バルジャンを悪と信じて追い続けるもそのジャン・バルジャンに自身の命を救われ、そして彼もまたジャン・バルジャンを見逃してしまう。その瞬間に彼の中の存在意義というものが失くなってしまったのではないかと思う。ジャン・バルジャンを追う決意をするシーンと見逃したことによる葛藤に悩むシーンが重なってみえた。

マリウスとコゼットは結婚。くそう、なぜマリウスだけ幸せなのか。ジャン・バルジャンは最後までコゼットに自身の人生を伝えずに死ぬ。司祭とファンティーヌに導かれて天に召される。

ラスト。死んでいった者達の民衆の歌。ジャン・バルジャン、ファンティーヌ、アンジョルラス、エポニーヌ…いないのはジャベールだけ。他の方の意見で「ここに出ているのは神に救われた者達」というのがあった。ジャン・バルジャンは誠実に生き、ファンティーヌはコゼットの幸せを願い、アンジョルラスは戦いに死に、エポニーヌは愛に死に…ラストシーンに出ているのは何かしらの部分で自分の心が満たされて死んでいった人たちなのではと思う。ジャベールだけは最後までジャン・バルジャンを見逃した自分を許せず死んだ。だからあのシーンにはいない。
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観終わった感想は「はじめてレ・ミゼラブルに触れる人には優しくない」だ。レ・ミゼラブルはもとはミュージカル、小説もあるしまた別の昔の映画(1998年)もある。この映画を観ただけではすべてを納得することはできないと感じた。どこかしらの他作品で補完は必須だろう。加えて、劇中セリフの95%が歌だ。残りの5%も歌っぽい抑揚で進む。この辺りは好き嫌いがはっきり分かれると思う。僕は別に気にならなかった。
一方でミュージカルは最高だ。口パクじゃなくて実際に演技しながら歌っているのだから衝撃。「one day more」と「民衆の歌」は聴くべきです。

総じて、人には薦め難い映画と感じた。
なんであれ少しこの作品に興味が出てきたので、1998年版の方も観てみようと思う。これと2012年版でだいぶ補完されているらしいし。