Right to Light

陽ととなり

例え私じゃなくなったとしてもそれで救われる訳じゃない

フィクションの女になりたいと思う。そこでは全てが自信に溢れた世界で、あらゆる感情を言葉に出来る。切り捨ててみたり、無関心を貫いてみたり、たまに下唇を噛んで強がってみたり、そういう存在に私はなりたいと思う。

 

夜が来ても暑さはじっとりはりつくように私から歩調を奪う。今日は1日ずっと外に出ていたからさすがに疲れた。楽しさと疲れがちょうど身体の真ん中で分かれているみたい。右腕は震えて上がらないし、久しぶりにお酒を飲んだからお腹の下の方がざわついてる。そして、きっといつもある感覚、時間が過ぎて独りになる感覚。今日外に出ていた分だけ、私は独りにならなければならない。何も抱えていないこの両腕に、目一杯の独白を。

 

とにかく気に入らないことを書き出していくと、それだけですっきり吐き出した気持ちになる。と言っても思いのほとんどは忘れてしまって、一見健全な身体のように見える。あぁ、でも、そうしようとすれば思い出せるものだなぁ。気に入らないことなんだからそのまま忘れたままで良いのに。どうして二度もこうして自己嫌悪にはまらなくはならないのか。こんな時、私はフィクションの女になる。彼女だったらどう思うだろう。"私は精一杯生きている。苦手なことも必要なことと割り切って、なんとか綱を渡っている。それでもそこで傷付くことが、弱さだって言うつもり?一番恐れているのは自分がわからなくなること。周りになんと言われようと本当は放っておきたいの。私の生き方が間違っているって言うのなら、もう私には何が真実なのかわからないわ"。何を話してももう二番煎じにしかならない気がする。悩みはいつだって側にいて、そこに何かを思う私も変われないまま悩み続ける。弱い頭と足りない語彙をフル回転させても、できあがる言葉はずっと同じで面白くないのだ。"変われない"というのは呪いだ。似合わない自分を作るより、じっと今の自分を守る方が断然楽なのだ。その理由なんてなんでもいい。根っこにあるのはとにかく傷付きたくないだけ、それに尽きる。傷付きたくない癖に、私は夢を見てしまうから、ここで踏み出せば何か変わると自分に言い聞かせて、何度涙を飲んだことだろう。望む結果を得られない行動はすべて失敗なのか、きっとそんなはずはないだろうがそこにある未来への糧を私は見つけられないでいる。

 

もっと言いたいことは他にあるのに、あーうー、考えられない。口にするとまた自分を傷付けてしまう。変われることは喜びか、それはきっと自分を守ることに疲れた結果だと思う。私は昔から正直で居過ぎてしまったのだ。なのに肝心なところでいつも隠してしまう、自分を守ってしまう。"私の想いがわかるはずがない"。"あの時あなたの目を見た時は、ほんの少しわかった気でいたの。でも今じゃその自信もないわ"。フィクションの女になれたら、言いたいことを誰かに乗せて伝えられたら、きっと楽しいと思う。でもそれは、やっぱりフィクションなのだ。