Right to Light

陽に当たっていたい22歳

入った会社を4ヶ月で辞めた

なんてことはない。すべてはタイトルの通りである。人並みに苦労し掴んだ内定にこれからの人生の希望を見出していた頃から4ヶ月、僕は何をしていたのだろう。今はこうして自分でも分かる程の死んだ表情で文字を綴る。当時の感情とかは思い出すのも文字にするのも難しいし煩わしいので覚えている範囲で書く。「あの時ああしておけば!」「ここがダメだった!」は、もう他の所で書いてあるのでここでは省く。もちろん反省がない訳ではない。ただ、こういう事実があったのだと、自分が納得のいくまで残しておくことが今必要だと感じる。

 

4月、オリエンテーションで代表として決意表明をさせてもらった。組織の一員として努力しますとかご指導ご鞭撻をよろしくとか、そういう当たり障りのないことをスピーチした。実際その通りの意識を持ち合わせていたし代表に選ばれたことへの期待に応えなければという思いでいっぱいだった。スピーチは褒めてもらった。ますます頑張らなくては。自信はまさに決意として一層固く強まった。

 

その後配属が決まった。上司曰く新卒で一番ハードな部署だった。そこでの仕事が嫌だったとか辛かったとか、今となっては何の思いもない。ただそこで僕は精神的にやられた。誤解の無いように言うと、先輩はみなさんとても良い人で、人間関係に問題はなかった。と思う。一方で、片付かない仕事量、迫る締め切り、孤独さと疎外感(これは僕が勝手に感じていただけかもしれないが)、とにかく、中高大と積み上げてきた僕の自信と決意表明の時に持ち合わせていたやる気をすり潰すには充分なストレスと疲労だった。朝早く家を出て夜遅くに帰る。母は寝ずに夕食を用意していてくれたし本当に有り難かった。しかしそれもいつもではなく、自然家族と関わる時間は減り、風呂と寝る為に家に帰る生活になっていった。家に着けば風呂に入りご飯を食べそのまま眠る。そして朝になればまた家を出る。気分を切り替えるヒマもなく日々が過ぎて行った。社会人とはこういうものだと自分を納得させている一方で、この生活がこれから続くことへの激しい拒絶の思いが常に頭に渦巻いていた。そして2ヶ月経ったある時に、職場に入れなくなった。「またここに入ると夜まで出てこれない」頭がその思いで一杯になり、脚が固まった。

 

その場で上司に電話し、面談することになった。自分の現状をなんとか話し、精神が参っているとのことで心理士の方のカウンセリングを受けた。そこで、もう今の部署で続けていくことは難しいということで、配置転換を受けた。6月、異例の異動であったらしい。

 

新しい部署は比較的落ち着いた場所だった。改めての自己紹介があったり僕用に新しくデスクを用意してもらったり、そこで何とか続けていければという思いであった。異動をしたからには必ず役に立ってみせると、一度折れた心にも微かなやる気が湧いていたのを覚えている。仕事も多いが時間に追われることもない。先輩達との関係もいい。前よりは早く家に帰れる。環境は劇的に変わった。環境は。

 

しかし僕の気持ちはあまり変わらなかった。もう一度トライさせてもらえた感謝と必ず続けてみせるという思いとは別に、いつも胸に渦巻くものを感じていた。それは異動したことの負い目、多くの人に迷惑をかけてしまった罪悪感、途中で諦めた自分の情けなさ。今書くだけでも気が滅入るような感情が職場にいる間ずっと続いていた。6月終わり、この頃から涙腺がバグり出し仕事中に涙が溢れるようになる。カウンセリングでは前職への負い目が負担になって、軽い鬱手前の症状が出ていたらしい(鬱ではない)。壊れたままの涙腺を抱え7月に入る。集中していれば、なんてことはない辛い仕事ではなく捌き切れる量で、わからないことはなんでもすぐ教えてもらえる、それでもふとした拍子に、「俺はどうしてここにいるのか」「どうして前の仕事を続けられなかったのか」「いることでまた迷惑をかけているのではないか」「よく思われているはずがない」負の感情が湧き上がる。考え出すと止まらない。軽い人間不信に陥っていたのではと自分で思う。実際は当然そんなことはない。誰も皆さん信用と尊敬に足る方々であったし、直接的に悪い態度を取られた訳ではない。それでも、それでもだ。考え出すと止まらなかった。自分でも抑えられず、また職場に行けなくなった。7月も終わりが見えた頃だった。

 

そしてほんの数日前のカウンセリングの時だった。心理士の先生にも難しい場面だと言われた。今の状態のまま働き続けることは難しい。いちばん避けるべきことは、その心理状態に病名がつくことだと言われた。病気になった時、手続き上は休職の措置が取れる。しかし、休職はあくまで復帰を前提とした措置であった。障害の原因が仕事の辛さや人間関係といったある程度動かせる外部のものではなく、負い目、人目、罪悪感という個人(僕)の精神要因では、休職してカウンセリングと心療内科の受診をしたとしても、復帰後に元の精神状態に戻っている保証がない。それどころか、その休職が更にプレッシャーになって、今度こそダメになるかもしれない。それは避けなければならないので休職を勧めることは難しい、とのことだった。上司からも、事務的な手続きとして休職もなしのこれ以上の欠勤は経歴に傷がつくことになる、それは避けてほしいと言われた。こうして事実上の二択を提示された。今(明日)から復帰するか退職するか、である。決断を迫られた。

 

その時には内心もうどちらにするか決まっていたと思う。このままズルズルと今の状態のまま休んでも自分が苦しいし思いも腐っていく。休んだとしても復帰する時に元気でいける自信もない。これ以上迷惑と心配をかける訳にはいかないし、苦悩とも呼べる今の状態から解放されたかった。こうして7月末、退職することになった。

 

当面はとにかく動いていたいしお金を作らなければならない。有難いことに大学時代のバイト先にまた戻して頂けたので、そこでバイトをしつつ落ち着いたら就活をしようと思う。

これが今後の動きの話。

 

そして気持ちの話

僕自身これでよかったのだと思っている。心残りは当然ある。不安もいっぱいある。仕事はともかく、同期の人達ともっと仲良くなりたかったし残せたものもきっとあった。もう少し気持ちが強く持てていたら、また違っていたかもしれない。また就活にも苦しむだろう。次の場所が見つかったとしても、また潰れてしまうかもしれない。

でも、これで良かったと思う。今後の不安を除けば、あと朝と夜に少し不安定な気分になることを除けば、気持ちもすっきりしている。生きることにも前向きだ。だから、これで良かったし、僕は大丈夫だ。

 

これまでのことを無かったことにはしない。良い勉強になった。自分の限界も知ることが出来た。今回のことで、見えてくることもきっとあるはずだ。人生は巡り合わせで回っていく。これがきっと良い方に向かっていく。そう思える人生を。それが今の志。